ひとしずく

シンプルな暮らし 日々の小さな「ひとしずく」をつづります。

老いと片付け

介護職をしていた頃、ある男性が余命を告げられました。
残念ながら、現代の医学では治療法のない難病でした。


しばらくして、その男性の妻が「もぅ長くはないことが分かっているんだから、身体が動く間に身の回りの物を片付けてくれたらいいのに、いくら言っても聞かないのよ・・。」と、話していました。

男性はかなり物をため込む方で、2階の部屋は男性の私物であふれていました。



私には片付けてほしい妻の気持ちも、片付けたくない男性の気持ちも、両方理解できたので、何も言えませんでした。


身の回りの物は、何気ない日々にあっては、単なる「物」かもしれませんが、いざ命の期限を意識する日々になってからは、「自分の生きた証」だったり、「暮らしの軌跡」になるように思います。


それと同時に、「身の回りの始末」をすることは、いつかやってる「死」を、ある程度受け入れていなければできません。「まだまだ生きたい!」と思っている人には、酷です。


それでも「老い」は、誰にでもやってきます。
片付けは体力もいりますし、頭も使います。処分する物が多いと、多額のお金がかかる場合もあります。

残された家族に過大な負担をかけないためにも、私はこのままミニマムな暮らしを続けていくつもりです。





結局・・男性は片付けをすることなく、この世を去りました。
私がこの夫婦に関われたのは、ここまで・・。

恐らく残された私物は、妻が片付けることになったでしょうが・・、その時間が、夫婦の楽しく幸せだった日々を偲ぶ、素敵な時間であったことを、願うばかりです・・。





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